1.保険期間について

【改訂のポイント】
輸送の開始時期が積込み作業中担保および終了時期の積卸し作業中も担保することを明示した。

 
【改訂の内容】
①保険始期
8.1 Subject to Clause 11 below, this insurance attaches from the time the subject-matter insured is first movedin the warehouse or at the place of storage (at the place named in the contract of insurance) for the purpose of the immediate loading into or onto the carrying vehicle or other conveyance for the commencement of transit, continues during the ordinary course of transit and terminates either

下記第11条に従うこととして、この保険は(この保険契約で指定された地の)倉庫または保管場所において、この保険の対象となる輸送の開始のために輸送車両またはその他の輸送用具に保険の目的物を直ちに積込む目的で、保険の目的物が最初に動かされた時に開始し、通常の輸送過程にある間継続し、、、、、

※上記については、売買契約上の貿易建値に順ずる危険の移転時期と保険の始期のいずれか遅い方で保険が開始します。

②保険終期
8.1.1 on completion of unloading from the carrying vehicle or other conveyance in or at the final warehouse or place of storage at the destination named in the contract of insurance,

この保険契約で指定された仕向地の最終の倉庫または保管場所において、輸送車両またはその他の輸送用具からの荷卸しが完了した時、、、、

※被保険者もしくはその使用人が、保険の目的の輸送中に輸送用具(含むコンテナ)を通常の輸送過程以外の保管のために使用することを選んだ場合、その時点で保険が終了するという規定が追記されています。

 

【旧ICCからの変遷】

ICC(1963) / ICC(1982) ICC(2009)
保険始期倉庫・保管場を離れる時点(leave)
倉庫・保管場所内で輸送開始のために輸送用具に直ちに積込む目的で、
保険の目的物が初めて動かさられた時点(first moved)
保険終期倉庫・保管場所に引渡される時点(delivery)
仕向地の倉庫・保管場所において輸送用具からの荷卸しが完了した時点(completion of unloading)

 

 

2.梱包不完全・不十分について

【改訂のポイント】
危険開始後の独立した請負業者等第三者による梱包または準備は、補償対象になる。

4.3 loss damage or expense caused by insufficiency or unsuitability of packing or preparation of the subject-matter insured to withstand the ordinary incidents of the insured transit where such packing or preparation is carried out by the Assured or their employees or prior to the attachment of this insurance (for the purpose of these Clauses “packing” shall be deemed to include stowage in a container and “employees” shall not include independent contractors)

この保険の対象となる輸送に通常生じる出来事に堪えることができるはずの保険の目的物の梱包または準備が、不十分または不適切であることによって生じる滅失、損傷または費用。ただし、その梱包または準備が、被保険者もしくはその使用人によって行われる場合またはこの保険の危険開始前に行われる場合に限る(本約款においては、「梱包」にはコンテナヘの積付けを含むものとし、「使用人」には独立した請負業者を含まない)

 
【改訂の内容】
梱包または準備が、被保険者もしくはその使用人によって行われる場合、またはこの保険の危険開始前に行われる場合に限り免責が適用されます。言い換えれば、危険開始後の第三者による梱包不完全は免責対象外となります。

<注意1>
インコタームズの危険移転に順じますので、例えばCFR輸入の場合、梱包作業やコンテナの積みつけは危険開始前(危険開始は本船船側手摺を通過時)に行なわれるため、保険期間中に事故が発生しても、上記免責が適用されます。

<注意2>
この条項の梱包が商品自体の梱包作業または準備を含むかどうかが明記されていませんが、下記の理由によりコンテナ積込み作業を想定していると思われます。
①インコタームズにより売主の義務としての(運送人に引渡し前の)輸送に堪えうる商品梱包。

②第8条のTransit Clauseに規定している「continues during the ordinary course of transit(通常の輸送過程にある間継続し、)」の文言より奥地から輸送開始し、港東地区等の別の場所での梱包がされる場合が、通常の輸送過程に当たらない。

③第8条1項のTransit Clauseに規定している「this insurance attaches from the time the subject-matter insured is first moved in the warehouse or at the place of storage (at the place named in the contract of insurance) for the purpose of the immediate loading into or onto the carrying vehicle or other conveyance for the commencement of transit, (この保険の対象となる輸送の開始のために輸送車両またはその他の輸送用具に保険の目的物を直ちに積込む目的で、保険の目的物が最初に動かされた時に開始し、)」において、国際輸送の開始を前提としているため、危険開始後の梱包作業を想定していない。

 
【旧ICCからの変遷】
保険の目的物の梱包や積付けが不完全・不十分である場合は、損害の発生に偶然性が無いとのことから、海上保険では免責とされています。
ICC(1963)は明示規定はありませんが、「貨物の固有の瑕疵」として英国の判例に基き免責となりました。
ICC(1982)では、明示免責となります。梱包の不完全・不十分による免責は適用範囲が幅広く、被保険者の管理の及ばない場合や、危険開始後に偶発的に生じた梱包の不完全・不十分も免責の対象としており、コンテナ等への積込みに関しては、運送業者等が行う場合に免責を適用しない緩和措置が規定されていました。
ICC(2009)では、危険開始後に第三者が梱包を行う場合は免責を適用しないこととなりました。 従い、被保険者にとって免責の適用が緩和されたこととなっています。

 

 

3.船社倒産リスク免責について

【改訂のポイント】
船社倒産免責規定が、但し書により適用範囲を大幅に限定した。

4.6 loss damage or expense caused by insolvency or financial default of the owners managers charterers or operators of the vessel where, at the time of loading of the subject-matter insured on board the vessel, the Assured are aware, or in the ordinary course of business should be aware, that such insolvency or financial default could prevent the normal prosecution of the voyage.
This exclusion shall not apply where the contract of insurance has been assigned to the party claiming hereunder who has bought or agreed to buy the subject-matter insured in good faith under a binding contract

船舶の所有者、管理者、用船者または運航者の支払不能または金銭債務不履行によって生じる滅失、損傷または費用。ただし、保険の目的物を船舶に積込む時に、被保険者がそのような支払不能または金銭債務不履行が、その航海の通常の遂行を妨げることになり得ると知っているか、または通常の業務上当然知っているべきである場合に限る。

本免責規定はある拘束力のある契約に従って、善意で保険の目的物を購入した者もしくは購入することに同意した者に保険契約が譲渡され、その者が本保険により保険金を請求する場合には適用されない。

 
【改訂の内容】
①今回の改定では、船社等の倒産による免責適用は「被保険者が船社等の支払不能または金銭債務不履行が、航海の通常の遂行を妨げることになり得ると知っていた場合、または通常の業務上当然知っているべき場合」に限り適用されることとされています。
※立証責任は、保険者にあります。
これにより、12条の継搬費用(Forwarding Charges)に規定する「この保険によって保険の目的物がそこまで担保されている港または地以外の港または地で打切られる場合には、保険者は、保険の目的物の荷卸し、保管およびこの保険に付けられた仕向地までの継搬のために適切かつ合理的に支出された一切の追加費用を被保険者にてん補する。」により、運送打ち切りの場合でも最終仕向地まで担保される事となります。

②「善意で保険の目的物を購入した者もしくは購入することに同意した者に保険契約が譲渡され、その者が本保険により保険金を請求する場合には適用されない。」これにより、保険証券の譲受人は免責適用外となりました。

 
【旧ICCからの変遷】
船会社(船舶の所有者・管理者・用船者・運航者)が経営不振に陥り金銭債務不履行となった場合、当該船会社に対して債権を有する者が船会社の運航する船舶に積載されている貨物を差し押さえる場合があります。この様な事態が生じた場合、各荷主は自ら金銭的な負担をし、貨物をリリースさせ、最終目的地までの輸送を再度手配する必要に迫られることがあります。
ICC(All Risks)1963は、明示免責ではありませんでしたが、ICC(A)1982では、この様な船社等の支払不能または金銭債務不履行によって生じる滅失、損傷または費用については免責としています。この免責は適用範囲が幅広く、被保険者(保険証券の裏書譲渡を受けた譲渡人も含む)が船社等の経済的状況について知りえない場合においても免責の対象としていました。
ICC(A)2009は、上記①②より、被保険者にとって免責の適用が大幅に緩和されたこととなっています。

 

 

4.不堪航および不適合免責について

【改訂のポイント】
被保険者が知らない場合の用件の緩和、及び保険証券の譲受人の免責対象外の明記。

5.1 In no case shall this insurance cover loss damage or expense arising from
5.1.1 unseaworthiness of vessel or craft or unfitness of vessel or craft for the safe carriage of the subject-matter insured, where the Assured are privy to such unseaworthiness or unfitness, at the time the subject-matter insured is loaded therein
5.1.2 unfitness of container or conveyance for the safe carriage of the subject-matter insured, where loading therein or thereon is carried out prior to attachment of this insurance or
by the Assured or their employees and they are privy to such unfitness at the time of loading.
5.2 Exclusion 5.1.1 above shall not apply where the contract of insurance has been assigned to the party claiming hereunder who has bought or agreed to buy the subject-matter insured in good faith under a binding contract.
5.3 The Insurers waive any breach of the implied warranties of seaworthiness of the ship and fitness of the ship to carry the subject-matter insured to destination.

5.1 この保険は、いかなる場合においても以下の事由から生じる滅失、損傷または費用をてん補しない。
5.1.1 船舶もしくは艀の不堪航、または船舶もしくは艀が保険の目的物の安全な運送に適さないこと。ただし、被保険者が、保険の目的物がこれらの輸送用具に積込まれる時に、その不堪航または安全な運送に適さないことを知っている場合に限る。
5.1.2 コンテナまたは輸送用具が保険の目的物の安全な運送に適さないこと。ただし、これらの輸送用具への積込みが、この保険の危険開始前に行われる場合、または被保険者もしくはその使用人によって行われ、かつ、これらの者が積込みの時に運送に適さないことを知っている場合に限る。
5.2 上記第5条1項1号の免責規定は、ある拘束力のある契約に従って、善意で保険の目的物を購入した者または購入することに同意した者にこの保険契約が譲渡され、その者が本保険により保険金を請求する場合には適用されない。
5.3 保険者は、船舶の堪航性および船舶が保険の目的物の仕向地までの運送に適することについての黙示担保の違反があっても、これを問わない。

 
【改訂の内容】
①船舶または艀の規定(5条1項1号)を個別に規定し、コンテナまたは輸送用具の規定(5条1項2号)を追加規定し、5条2項で、船舶または艀の規定(5条1項1号)の場合の善意の保険譲受人を免責対象外にする旨を明記しています。

②5条3項で、被保険者不関知用件であった「被保険者もしくはその使用人が不堪航を知っている場合を除く。」が削除されたため、堪航性は無条件で承認されることになりました。但し、事故発生時には5条1項および5条2項の免責条項に従い判断されます。

 
【旧ICCからの変遷】
ICC(1963)は、8条により危険開始時に船舶の堪航性が承認されており、保険者は不堪航を理由に保険責任を免れることはできませんでした。
ICC(1982)では、船舶または艀の不堪航および不適合の免責は適用範囲が幅広く、被保険者(法人の場合は、経営者・取締役等の「使用者」を含む)及び使用人(従業員)が関知している場合を免責の対象としておりました。
ICC(2009)では、船舶または艀の不堪航および不適合の免責適用は「被保険者が関知していた場合」に限り適用されることとなり、「使用人が関知している場合」は免責の適用除外となりました。また、船舶または艀の不堪航および不適合の免責規定は、保険証券の裏書き譲渡を受けた譲受人には適用されないこととなりました。

 

 

5.航海の変更について

【改訂のポイント】
保険者はMIA44条の規定に係わらず、被保険者等が関知していない場合に、本船が別の目的地に向けて航海した場合は、危険が開始する旨を明示した。

10.1 Where, after attachment of this insurance, the destination is changed by the Assured, this must be notified promptly to Insurers for rates and terms to be agreed. Should a loss occur prior to such agreement being obtained cover may be provided but only if cover would have been available at a reasonable commercial market rate on reasonable market terms.
10.2 Where the subject-matter insured commences the transit contemplated by this insurance (in accordance with Clause 8.1), but, without the knowledge of the Assured or their employees the ship sails for another destination, this insurance will nevertheless be deemed to have attached at commencement of such transit.

10.1 この保険の危険開始後に被保険者が仕向地を変更する場合は、遅滞なくその旨を保険者に通知し、保険料率および保険条件の協定をしなければならない。その協定前に損害が発生した場合は、営利保険市場において妥当と考えられる保険条件および保険料率による担保が得られるときに限り、担保が提供される。
10.2 保険の目的物が、(第8条1項に従い)この保険によって企図された輸送を開始したが、被保険者およびその使用人が知らずして、船舶が別の仕向地に向けて出帆した場合であっても、この保険はその輸送開始の時に危険が開始したものとする。

 
【改訂の内容】
①「遅滞なく保険者に通知し、保険料率および保険条件の協定をしなければならない」とされ、保険者が新たな保険条件および保険料率による担保が得られるときに限り、担保が提供されます。担保の提供が保証される主旨ではありません。

②原保険により想定される輸送を開始した場合は、被保険者/使用人が関知しない場合には、別の仕向地へ出帆した場合であっても担保されることとなりました。従って、保険者はMIA44条の規定に係わらず、本船が別の目的地に向けて航海した場合は、危険が開始します。

③「※held covered」の表現を修正し、Institute Classification Clause(1/1/2001) (協会船級約款)と同じ文言を使用することで、手続きが具体的に規定されました。

 
【旧ICCからの変遷】
1906年英国海上保険法(Marine Insurance Act 1906)第44条では「到達港が保険証券に定められた場合において、船舶がその到達港に向かって出帆せずに他の到達港に向かって出帆した時は、保険者の責任は開始しない。」と定められています。この様な事態が生じた場合、ICC(1963)において保険者は、これを論拠として無責を主張することが可能とされていましたが、ICC(1982) は、仕向地の変更を被保険者の意思による場合に限定し、追って協定される保険料と保険条件により担保が継続されるとしています。ただし、運送人の自由裁量権の行使に基づく航海変更が、証券記載の目的地とは異なる地を目指して航海した場合にはICC(1963)と同様に保険が無効となります。
ICC(2009)では「被保険者およびその使用人が知らずして船舶が別の仕向地に出帆した場合」には、この英国海上保険法の定めに関わらず保険責任が開始することが明確化されました。