1.担保危険
外航貨物海上保険は3種類のリスクに分類され、それぞれ海上危険、戦争危険そしてストライキ等危険となります。

(1)海上危険(Institute Cargo Clauses 1/1/09)
輸送中の危険を担保する内容で、船舶のS.S.B.C.事故(座礁(Stranded)・沈没(Sunk)・大火災(Burnt)・衝突(Collision))をはじめ、輸送中に付随したあらゆる危険を補償します。(主な補償内容は下記表を参照ください。)


(2)戦争危険(Institute War Clauses 1/1/09)
保険期間は、基本的に貨物が本船に積込まれた時から荷卸された時までを補償し、荷卸が遅れた場合でも仕向港到着日以後15日で終了します。
但し、積替港で他の船舶に継続搬送の目的で貨物が陸揚された場合は、荷卸後15日間を限度にセカンドキャリア積込みまでの陸上危険も補償されます。また、艀による積込み積卸中および艀輸送期間中の遺棄魚雷・機雷等の蝕雷危険も補償されます。

保険契約締結後、仕向け国の戦争危険が変動し、荷卸港以外の港へ向かう場合は原則として保険者の担保危険は解除されますが、保険者に対する通知と割増保険料を支払うことにより担保が継続される旨の規定があります。

主な補償内容は、下記の通りです。

①戦争、内乱、革命、反乱、謀反、またはこれらから生じる国内紛争、または交戦国による(交戦国に対しての)あらゆる敵対行為により損害を被った滅失、損傷を補償します。

②①より生ずる捕獲、拿捕、拘束、抑止または抑留ならびにこれらの結果、またはこれらに対するあらゆる企ての結果により損害を被った滅失、損傷を補償、遺棄機雷、遺棄魚雷、遺棄爆弾またはその他の遺棄戦争兵器により損害を被った滅失、損傷を補償します。


(3)ストライキ等危険(Institute Strikes Clauses 1/1/09)
保険期間は、海上危険(マリン・リスク)の保険期間と同じです。主な補償内容は、下記の通りです。

①同盟罷業(ストライキ参加者)、職場閉鎖を受けた労働者、または労働争議、暴動または騒乱に加担している者により損害を被った滅失、損傷を補償します。

②テロリストまたは政治的動機から行動する者により損害を被った滅失、損傷もこのストライキ等危険によって補償されます。

【ポイント】
外航貨物海上保険とは、「海上危険(A)、(B)、(C)/(Air)」条件のいずれかに「戦争危険」及び「ストライキ等危険」を付帯した補償内容です。




ICC約款の(A) (B) (C) (AIR) 各条件の補償内容と主な免責

事故内容 基 本 条 件
(A) (B) (C) (AIR)
火災・爆発
船舶・艀の座礁・沈没
陸上輸送用具の転覆・脱線
船舶・艀・輸送用具の他物との衝突
積込み・荷卸しの際の水没・落下による梱包1個毎の全損
共同海損・投荷
救助料
波ざらい
地震・噴火・雷
海水・湖水・河川の水の輸送用具・保管場所への侵入
海賊行為
上記以外の一切の危険(雨・雪等による濡れ・汗濡れ・破損・
盗難・不着・抜荷・まがり・へこみ・擦損・不足・汚損・混合等) *1
あらゆる人又は人々の悪意ある行為
通常の輸送過程のテロ危険
被保険者が関与しない梱包等不備による損害 限定補償○ 限定補償○ 限定補償○ 限定補償○
被保険者が関知しない船会社等の破産・財政上の債務不履行 限定補償○ 限定補償○ 限定補償○ 限定補償○
被保険者の故意・違法行為 免責 免責 免責 免責
貨物の通常の漏損・自然の消耗 免責 免責 免責 免責
貨物の梱包不備による損害 免責 免責 免責 免責
船舶の所有者等の破産・財政上の債務不履行 免責 免責 免責 免責
貨物の固有の瑕疵又は性質(腐敗、変質、錆等)に起因する損害 免責 免責 免責 免責
輸送の遅延に起因する損害 免責 免責 免責 免責
原子力兵器による損害 免責 免責 免責 免責
船舶・艀の不堪航、船舶・艀・輸送用具・コンテナ・リフトバンの不適合(被保険者が関知している場合に限る) 免責 免責 免責 免責
原子力危険、生物化学兵器等危険 免責 免責 免責 免責
通常の輸送過程以外のテロ危険 免責 免責 免責 免責
間接損害(違約金、二次的損害等) 免責 免責 免責 免責
政府機関によって輸入不許可となった場合 免責 免責 免責 免責
戦争 (別約款にて補償)
ストライキ (別約款にて補償)

○:補償の対象
●:特別約款にて別途補償可能
限定補償○ : 免責条項に規定されているが、限定的に免責を制限して補償の対象
*1:コンテナ又は梱包に外傷がある場合に限ります。




2.ICC(B)/ICC(C)に付加する危険を補償する主な特約
ICC(B)/ICC(C)条件では、担保される危険を列挙する形式がとられています。

補償範囲は上記「 ICC(A) (B) (C) (AIR) 各条件の補償内容と主な免責 」をご覧ください。

下記に特約として追加担保できる主な危険を列挙します。

①雨淡水濡れ損(Rain & Fresh Water Damage : RFWD)
輸送中の貨物の雨濡れ、淡水濡れの危険を担保します。

②盗難不着危険担保(Theft, Pilferage and Non-Delivery : TPND)
輸送中の貨物の荷抜き、梱包ごとの不着を担保します。

③不足または漏損(Shortage or Leakage)
輸送中の貨物の破袋等による不足や漏損を担保します。
参考適用貨物・・・粉状・粒状貨物・液状貨物

④破損、曲損、へこみ損(Breakage & Bending &/or Denting)
輸送中に曲がったり、へこんだり、破損したりした場合に担保します。
参考適用貨物・・・機械類・鋼材

⑤汗濡れ、むれ損(Sweat & Heating)
運送中の急激な温度変化による損害を担保します。

参考適用貨物・・・米・大豆等穀物、皮革

⑥投荷波ざらい(Jettison &/or Washing Overboard : JWOB)
甲板積み貨物に対しての危険を担保します。

参考適用貨物・・・木材、強酸類、大型車両・建機

⑦汚染担保(Contamination)
液状のバラ積み貨物が他の物質等と接触して、汚染、変色、不純化した場合を担保します。

⑧自然発火担保(Spontaneous Combustion)
貨物自体の性質で発熱したり、自然発火を起こすような危険を有する貨物に対しての特約です。

⑨漏損(Leakage)
容器入りの液状貨物の漏出損害を担保します。

自然の蒸発や漏出は、免責となります。

⑩虫食い、ねずみ食い担保(Rats & Vermn)

船艙や倉庫等での喰い荒らしによる損害を担保しますが、貨物自体に害虫が寄生していたり、卵が付着していて輸送中に孵化した場合の損害は免責となります。   など

【ポイント】
MARフォーム用のICC(B)/ICC(C)条件は、S.G.フォームのWA/FPAと異なり、列挙危険であれば分損も免責歩合がなく補償されます。