1.特別費用(particular charge)

M.I.A.64.Particular average loss

(2)Expenses incurred by or on behalf of the assured for the safety or preservation of the subject-matter insured, other than general average and salvage charges, are called particular charges.

Particular charges are not included in particular average.

【概 要】
「particular charges」は被保険貨物の安全及び安全な状態にての保存のために被保険者によって、または被保険者のために支出された費用で、共同海損と救助料以外の費用であり、単独海損には含まれない(単独海損の有無とは別途に保険金額を限度に支払われます)旨を規定しています。

【注 釈】
担保危険を回避するために貨物の損害防止・軽減に関わる目的で支出された支出者を限定していない費用となります。
M.I.A.76条2項で、免責歩合は適用されない旨の規定があります。

【具体的な補償】
中間港で支出された貨物の陸揚費用、貨物の手入れ費用、保管費用、再積込み費用など




2.付帯費用(損害調査費用) (extra charge)

M.I.A.76.Particular average warranties
(2)Where the subject-matter insured is warranted free from particular average, either wholly or under a certain percentage,
the insurer is nevertheless liable for salvage charges, and for particular charges and other expenses properly incurred pursuant to the provisions of the suing and labouring clause in order to avert a loss insured against.

【概 要】
被保険貨物が、全部又は一定の歩合未満の単独海損を担保しない場合でも、保険者は救助料および保険で担保される危険をさけるために損害約款の規定に基づき正当に支出された特別費用およびその他の費用を補償します。

【具体的な補償】
保険によって担保される危険による損害について、支出した損害調査費用でサーベーヤー費用、鑑定料や競売費用等となります。

保険金が支払われる損害に対して、保険金と合算して支払われます。また、英国法の規定により、損害が不担保の場合または、免責事項に該当して保険金が支払われない場合は、この費用も支払われません。




3.損害防止費用(Suing and labouring charge)

M.I.A.78.Suing and labouring clause

(1)Where the policy contains a suing and labouring clause, the engagement thereby entered into is deemed to be supplementary to the contract of insurance, and the assured may recover from the insurer any expenses properly incurred pursuant to the clause, notwithstanding that the insurer may have paid for a total loss, or that the subject-matter may have been warranted free from particular average, either wholly or under a certain percentage.

【概 要】
被保険貨物が全損の場合でも約款に従って正当に支出した費用は、別枠で請求できる旨を規定しています。
損害防止費用が認められる要件として下記を充足する事を規定しています。

①被保険危険が既に発生または作用していること
⇒危険の発生のおそれに対しての準備に支出した費用は、認められません。

②保険により担保される危険の損害を防止軽減するための費用であること

③保険証券記載の仕向地に到着する前に支出された費用であること

④被保険者、その代理人、使用人または譲受人により支出された費用であること

⑤合理的に支出された費用であること
⇒被保険貨物の協定価額以上の費用をかけて損害防止を軽減することは、不合理であると思われます。




4.共同海損費用

M.I.A.66条の規定により、貨物保険で補償される危険を回避するために生じた犠牲損害や共同海損分担金を補償します。

【参考 : 共同海損について




5.救助料

M.I.A.65. Salvage charges

(2)”Salvage charges” means the charges recoverable under maritime law by a salvor independently of contract.
They do not include the expenses of services in the nature of salvage rendered by the assured or his agents, or any person employed for hire by them, for the purpose of averting a peril insured against. Such expenses, where properly incurred, may be recovered as particular charges or as a general average loss, according to the circumstances under which they were incurred.

【概 要】
救助料は契約に関係なく”maritime law”の下、救助者が回収できる費用と定義されています。
被保険者等に報酬を約された者が保険にて担保される危険に対しての被保険貨物の損害を防ぐために行なった救助は、「particular charges」 または共同海損損害として回収が可能であり、救助料には含まれない旨を規定しています。

【注 釈】
船舶が航海中に事故にあった際の救助に支出した費用をいいます。




6.費用損害の考え方と費用負担

上記1~5は、仕向港(地)以前で発生した場合の損害防止に関わる費用損害についての規定ですが、こちらでは仕向港(地)に到着した損害貨物の原状回復のための損害に付随する主な費用損害について説明します。

補償の対象となるかどうかは、支出された費用が貨物の輸送に関わる通常費用ではないか、および原状回復以上のために支出、または間接費用等が含まれていないかなどが要件となります。


①損害貨物の手直し費用
手直し費用としては、人件費、資材費、運送・荷役費、保管料等があります。貨物の損害の手直しに関わる費用ですので、保険会社の判断の下に単独損害として処理されます。


②損害貨物の修理費用
損害を受けたままで転売や格落ちのまま使用できない貨物に対して、修理費用が補償されます。
一般的には機械が対象となりますが、修理費用として交換部品代金、修繕費用、輸送費用等があります。
交換部品を海外メーカーから輸入する場合の運賃や関税については、元の機械を輸入した時の保険条件と輸送条件により補償範囲が変わります。元の機械を海上輸送された場合の交換部品の運賃は、海上輸送費を限度として補償され、元の機械輸入時に関税保険を付保していなければ、交換部品に対する輸入関税は補償されません。修理費用の補償限度額は、損害を受けた一単位ごとの機械の保険金額までです。

【ポイント】
修理が前提の機械輸送には交換部品の航空運賃および輸入関税を補償する特約を別途手配してください。
それぞれ、Special Replacement Clause(Air Freight) ・Special Replacement Clause(Duty)といいます。




③再梱包費用
最終仕向港(地)到着前に梱包の損傷があった場合、そのまま安全に輸送を継続できない場合で再梱包をした場合の再梱包費用は補償されます。最終仕向地に到着したあとに行なわれる再梱包費用は、補償されません。
また、梱包の損傷については、外箱(輸送のための包装)の損傷は補償されません。但し、梱包が商品の一部を構成するような場合の化粧箱については、貨物に損害が無くても再梱包費用も補償されます。


④輸入関税および内国消費税
輸入関税については、費用損害としては認められません。別途に「関税保険」に加入する事で、補償されます。
国内の消費税については、基本的に保険金は課税対象外となっているため消費税は支払われません。
(消費税法取扱通達5-2-4)
ただし、費用損害(修理費用や手直し費用等)保険金請求額に消費税が含まれている場合には、その限りではありません。

【消費税】
国内仕入で海外での売上を目的に設立した当初の会社(輸出企業)は、仕入税額控除制度の選択により消費税還付を受けられなる可能性もありますので、ご注意ください。

【参考:保険金と消費税


⑤補償されない主な費用
・損害があった貨物と正品との仕訳作業料
・損害貨物の廃棄費用
・コンテナ洗浄費用、延滞料
・違約金
・損害品の代替品の輸送費用
・輸入関税
・国内の消費税

【費用損害】
非常に複雑ですので、費用損害の発生を予期できる場合には、先ず保険会社に事前に相談することです。