中年になってからの水泳

□ 趣味・健康

日本には3,000万人から4,000万人の水泳人口があるといわれています。

これは日本の総人口の3~4人にひとりという驚異的な数です。古来日本は古式泳法からはじまり、水泳の盛んな国でした。
これだけ多くの水泳人口がいながら、「学生時代は水泳部だった」とか「子供の頃スイミングスクールに通っていた」とか、いわゆる水泳に真剣に打ち込んだことのある人は意外と少なく、4泳法(クロール、ブレスト、バック、バタフライ)をきちんと泳げる人はとても少ないようです。

 

さてそんな私も水泳に真剣に取り組んだことがなく、なんと30も後半に差し掛かり、健康不良やメタボ気味となり、「このままじゃいけないっ!」と一大決心、家の近くのオトナ向けスイミングスクールに通うことにしたのです。週一回一時間。ここでは極めてシロートの私が、スイミングスクールのなかでたくましく成長していく様と、涙無しには語れないレッスンを記していこうと思います。

 

ステージ1 初日
コーチはM先生・・・昔ブイブイ言わせてた感じの長身(元)イケメン40代。常に笑顔温厚だが眼光鋭い。
私(以下 岩手)・・・学生時代はバレーボール選手。当時から体重20㎏UP!?同じく(元)イケメンアラフォー。負けず嫌いだが、酒好きでメタボ気味。
私「先生 今日からよろしくお願いしますっ!水泳は特に習ったことありません。」
M先生「はーい じゃあちょっと泳いでみてください うえからみてまーす 」

 

私はMコーチにテストされるのだ、という緊張感を味わいながら できない背泳ぎとバタフライを自然に避け、細心の注意をはらいながらクロールと平泳ぎを混ぜ100Mくらい泳ぎ、息が上がっているのをバレないように「シロートにしちゃまあまあでしょ?どうでしたか?」と心の中でつぶやき、先生を見上げると
M先生「岩手さーん 大体わかりましたーっ!」と細かいことには関心のない様子の先生。
私・・・(おいおい けっこうヒッシに泳いだのにそれだけかよーっ!)今思えば私の泳ぎは「目くそ鼻くそ」という低レベルだったのは間違いありません。

 

そんな感じでレッスンははじまりました。
M先生「さあー皆さん はじめますよー 今日はクロールです。はりきっていきましょーう!アップを12回 さーいきましょうーっ!」
私(アップ12回!?!? 本レッスンの前だろっ!アップで25M×12=300M!?!? 高校の授業でメいっぱい泳いだのが確か275Mだったかなー!)
 
私は本レッスン開始まで自分の体力が持つのか、イキナリ心配になってしまいました。どうも間違ったクラス(一般成人コース)にはいってしまったのではないか。
今から明るく 「やっぱ私 初心者なんで 基礎をやってから参加することにしたいんですけどー♪」 といいだそうかと思っているうちに 前の人がズンズン大時計(後にペースクロックという名とわかった)をチラっとチェックしながらスタートしていきます。(等間隔で泳ぐため)50代や60代の女性もズンズン泳いでいきます。 私は昔バレーボール部だったし(全く関係ないが)、なんだかここで引くのはオトコがすたる!と思って「ええい なるようになれっ!みちょれ~ 」と最後尾から泳ぎだし、必死に前の「おば様」についていきました。
 
前の人がズンズン泳いでいくので少しだけ「プチ流れるプール」のような流れができていて、なんとかついていくことができましたが、「ここでオレ休憩ね♪」っていうタイミングで常に休みがない! 体力任せのシロート泳ぎの私は、早々にカラータイマーが点滅していました。体の全身の血流がこれ以上ないほど早く廻り、肌は熱い風呂からあがった「ゆでダコ」のように真っ赤になっていました。これから本レッスン???

 

M先生はおもむろにビート板をみんなに配ります。「キックからやります。今日はおしりを下げないで体をまっすぐにすることをこころがけてください! 10回。さーいきましょうー!」
私(10回っ!?!?バタ足を250M!?!?進むわけないじゃん!!!)
 
先頭を泳ぐ生徒さん(30代男性)がビート板バタ足ですすんでいきますが、私が普通に手足使って泳ぐスピードと大差ありません。50代60代の女性も疲れを知らない涼しい顔ですすんでいきます。
よくみたら・・・70代かもしれません。いわゆる「おばあ様!」みたいな女性が泳いで行くのです。母親みたいな年齢の女性が泳いでいるのに、ここでギブアップするわけにはいきません。
 
私も気合いをいれてスタートの壁を渾身の力で蹴ります。・・・だがしかし バタ足だけだとナカナカ前に進みません。
 
M先生「岩手さーん 足にチカラはいりすぎですよー!」
 
私「はい~ モゴモゴ(水を若干飲んでる音)」
 
M先生、見るに見かねて私の足を水中で握り動きを矯正していただきます。「仕事とはいえ オレみたいなおっさんの足持って先生えらいなぁ」
しかし不思議とこんなキッカケで「上手になったらこういう足の使い方になるんだろうなぁー」とイメージが漠然と広がるのでした。

 

ひととおりレッスンが終わると私ひとりが肩で息をしています。今度は手の使い方の説明。片手だけでクロールしたり、ひじを曲げたままするクロール、ひじを立てる練習、手のひらで水の重みを感じる練習・・・クロールの泳ぎ方って分解するとこんなにあるんだー!という感じです。振子のようにいろいろな要素を分解練習し、徐々にキレイな泳ぎ(振子の真ん中)に持ってくる感じでしょうか。
 
しかし体力的には普通に泳ぐのも大変なのに、分解練習はさらにシンドイのです。初心者の私はよく水(プールの)を飲みました。
「人間体力的に苦しくなると・・・ひとり言をいう」 私は地でこれをやってました。ひとりで「あ~!」「きつっ!」「まだあるの?」「チキショー」「うへぇ~」とつぶやきながらレッスンを受けてました。

分解練習をしたら終わりではなく、最後にレベル別にコースを分け、タイムを決めて泳ぎます。
M先生はうなぎの松、竹、並 というふうにコースを分けていました。私は自動的に 並コースです。
最初の1~2本は規定タイムでなんとか泳げますが、そこから疲れてくるので、だんだんきつくなります。
後からわかってきたのですが、きつくなってから工夫したり、がんばったりするところに意味があるのです。ひとつのポイントが 「水に浮いてる体の姿勢」 です。疲れてきても、きれいな姿勢を保つ工夫がインナーマッスルを鍛える(ちょっとおおげさ?)最高のトレーニングなのです。

 

 

ステージ2 ダイエットは?
はじめた当初は相当しんどく、帰り道に毎回死にそうな気持ちで 「もう無理よー来週はもう無理!」 と思っていた帰り道でしたが、みるみるカラダが締まってきました。一回スイミングに通うと体重が2Kgくらい落ちていてかなり爽快でした。「俺のエネルギーって燃えてるよなっ♪」 さわやかな汗、こんな気分のいいのは何年ぶりでしょう。
 
帰って飲むビールのうまいことったらありません。 しかしこれがいけなかったのです。体重はある数値を境にそれ以上減らなくなり、むしろ少しずつですがリバウンドの方向に戻りだしたのです。 ある方に聞いた話だと 「 一週間に一回程度の激しい運動は、やせるより食欲を増す働きをしますよ 」とのことでした。私はこの説が正しいことを身をもって知りました。
 
痩せてモテちゃうかなと思っていたのに、「泳げるデブ」になっていったのです。体は軽くなりましたが、外見はほとんど変わらなく、まさに「水泳のためだけの水泳」となってしまったのでした。

 

 

ステージ3 安定期
2ヶ月くらいするとだんだん体が慣れはじめ、どうやらかなりムダな力を使って泳いでいたようで、「泳ぎ方のコツがわかってくる」 + 「体力も少しついてくる」 という相乗効果がありました。
半年くらいすぎると「地獄のトレーニングメニュー」から「少々キツめの心地よい疲れ」へとレッスンを楽しめるようになってきました。
 
M先生のスイミングスクールでは、4週間を一泳法ずつテーマを決めて分解練習をしていました。苦手な種目(背泳ぎやバタフライ)の週はよくプールの水を飲みました。
しかしバタフライが40歳で生まれてはじめてできるようになりました。バタフライ・・・コレはもう少し若いうちに覚えておけば!アレコレいいこともあったような気がする泳ぎですね。
このあたりになると最後のレベル別タイム練習も「並」から「竹」あたりになっていきました。
 
このスイミングの中では依然下っ端でしたが、いままで時々通っていたプールにひとりで泳ぎにいくと、自分の水泳力が確実にUPしていることを実感しました。
ウォーミングアップのように手を伸ばして廻しながら泳ぎだし、普通に泳いでいくと周りの方が「お先へどうそ」と譲ってくれるのです。
数ヶ月前まで「譲る側専門」だった私が逆に「譲られる側」になるのは奇妙な感じでした。譲られると「お先失礼」といって泳ぎだすのですが、水泳成金状態の私にはかなり快感です。
50Mのプールなどは夢の夢と思っていたのですが、無理なく泳ぐと意外と楽に泳げることもわかりました。東京体育館の50Mプールも苦になりません。
 
そしてホテルのプールで泳ぐときは「高級そうに見えるクロール」ができるようになりました。入水時に音をさせないで優雅に泳ぐのです。腕と体が伸びていることが前提になりますが、ハタからみていると「優雅に泳いでるなー」という感じに見えるよう、演出も可能になりました。

 

 

ステージ4 健康に効果はあったのか?
私は数年に一回いわゆる「ギックリ腰」のような症状になり、そのたびにかかりつけの荻窪の整体のK先生にお世話になっております。
K先生は私によくこういっっていました「岩手君 運動しなくちゃダメだよ。君みたいに学生の頃運動してピタっとやめたひとがイチバン体を壊すんだよ!歩くだけでもいいからさぁ。」
水泳を始めた後、何かの拍子に腰をひねってしまい、何年ぶりかでK先生に予約をいれ、いってみました。
 
K先生は私の体を一通り触ると 「あら? いいねえ 岩手君 どうしたの? 筋肉がさー 柔らかくなってるヨー 何か運動やってるの?」
私が水泳をやっていることを話すと
K先生は「水泳かー いいねえー いいねえー 体にいい運動だよねー 」 と目を細めておられ、私ははじめてK先生から及第点をもらったのでした。
私にとって 印象に残る出来事でした。
 
余談になりますが、プールでウォーミングアップをする時、軽く水の中で歩いた後、壁を蹴って まっすぐ手を伸ばし 「蹴伸び」 をします。
この時体の調子が悪いと、まっすぐ進まず、左右どちらかに必ずブレるのです。これは泳いでいるうちに矯正されるようで、泳ぎ終わった後「蹴伸び」をするとまっすぐに進みます。
これも健康管理のひとつの指標でしょうか。
 
水泳なんて一人でやればヨシ!と最初は思っておりましたが、人間なかなか一人だと継続しないものです。スイミングに通うとジムと違い、決まった曜日にクラスがあるので、行かざるを得なくなるのです。少々具合がよくなくても、疲れていても 「月謝払ってるしもったいないな~」とか、「今週のカリキュラムを逃すと一ヶ月後だよなー 」 とか 結構不純な動機で通ってしまうものなのです。
 
そしてひとつ大事な原動力は50代~70代の「おば様方」なのでした。人生の先輩がライフワークのように楽しく泳いでいる。そんな皆さんと一緒に一生懸命にレッスンに取り組む。「オレみたいな青二才はまだまだ働かなくっちゃ」と実感するのです。それはとても良い雰囲気です。
 
中年になってから始めた水泳ですが、以外に奥深く、それぞれのレベルに応じて楽しめるスポーツだなと思っています。
50代にはいってから水泳を始められた女性で、マスターズで連覇をしている方もいらっしゃるようです。
水泳に限らず、不要な力をつかって無理をしていることが他にもたくさんあるのだろうなという気がしています。
水泳を上達するような気持ちで、いろいろなことに応用したいものです。
皆さんも 「きっかけとしての水泳」 からはじめてみるのもいかがでしょうか?



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