ホーム > ICC2009新約款 > INSTITUTE CARGO CLAUSES(2009) >

EXCLUSIONS

※ICC(1982)貨物約款との変更(追加・削除等)箇所は、英文を赤字で表記しています。

INSTITUTE CARGO CLAUSES (A)

4. In no case shall this insurance cover

4.1 loss damage or expense attributable to wilful misconduct of the Assured

4.2 ordinary leakage, ordinary loss in weight or volume, or ordinary wear and tear of the subject-matter insured

4.3 loss damage or expense caused by insufficiency or unsuitability of packing or preparation of the subject-matter insured
to withstand the ordinary incidents of the insured transit where such packing or preparation is carried out by the Assured or their employees or prior to the attachment of this insurance (for the purpose of these Clauses “packing” shall be deemed to include stowage in a container and “employees” shall not include independent contractors)

4.4 loss damage or expense
caused by inherent vice or nature of the subject-matter insured

4.5 loss damage or expense caused by delay, even though the delay be caused by a risk insured against (except expenses payable under Clause 2 above)

4.6 loss damage or expense
caused by insolvency or financial default of the owners managers charterers or operators of the vessel where, at the time of loading of the subject-matter insured on board the vessel, the Assured are aware, or in the ordinary course of business should be aware, that such insolvency or financial default could prevent the normal prosecution of the voyage.
This exclusion shall not apply where the contract of insurance has been assigned to the party claiming hereunder who has bought or agreed to buy the subject-matter insured in good faith under a binding contract.


4.7 loss damage or expense
directly or indirectly caused by or arising from the use of any weapon or device employing atomic or nuclear fission and/or fusion or other like reaction or radioactive force or matter.


【要 旨】
免責事由

第4条 この保険は、いかなる場合においても下記を補償しません。

4.1 被保険者の故意による滅失、損傷または費用

4.2 被保険貨物の通常の漏損、重量もしくは容積の通常の減少または自然の消耗

4.3 この保険の対象となる輸送に通常生じる出来事に堪えることができるはずの被保険貨物の梱包または準備が、不十分または不適切であることによって生じる滅失、損傷または費用。ただし、その梱包または準備が、被保険者もしくはその使用人によって行われる場合またはこの保険の危険開始前に行われる場合に限る(本約款においては、「梱包」にはコンテナヘの積付けを含むものとし、「使用人」には独立した請負業者を含まない)。

4.4 被保険貨物の固有の瑕疵(かし)または性質によって生じる滅失、損傷または費用

4.5 遅延が損害を担保する危険によって生じた場合でも、遅延によって生じる滅失、損傷または費用(上記第2条によって支払われる費用を除く)

4.6 船舶の所有者、管理者、用船者または運航者の支払不能または金銭債務不履行によって生じる滅失、損傷または費用。ただし、被保険貨物を船舶に積込む時に、被保険者がそのような支払不能または金銭債務不履行が、その航海の通常の遂行を妨げることになり得ると知っているか、または通常の業務上当然知っているべきである場合に限る。
本免責規定はある拘束力のある契約に従って、善意で被保険貨物を購入した者もしくは購入することに同意した者に保険契約が譲渡され、その者が本保険により保険金を請求する場合には適用されない。

4.7 直接、間接を問わず、原子核の分裂および/もしくは融合もしくはその他類似の反応または放射能もしくは放射性物質を利用した兵器または装置の使用によって生じる、またはそれらの使用から生じる滅失、損傷または費用


【注 釈】
・梱包または準備の不十分について
梱包は国際間の通常の運送や荷役に耐えうる強度が要求されていますが、特に規格があるわけではありません。
準備については壊れやすい(易損品)貨物等の外装梱包を行う前の個々の貨物を紙や発泡スチロール等により個別に包装しているかどうか錆び易い貨物に錆び止めを塗布しているか等、貨物の性質にあった荷造り前の下準備をしているかどうかをさしています。
ICC(1963)約款では、貨物の固有の瑕疵に起因する損害として取扱われてきましたがICC(1982)約款であらためて明記されました。
また、シッパーズ・パックによるコンテナ貨物はコンテナ内の積み付けやショアリングに不備があった場合にコンテナ自体を梱包とみなしますので、適切、完全なものにしておく必要があります。こちらについてもICC(2009)により、限定的な免責条件の緩和がされました。


【変更点】
※4.3(被保険貨物の梱包または準備の不十分または不適切)
「to withstand the ordinary incidents of the insured transit」の追加文言で、改めて被保険貨物の梱包(コンテナへの積付も含む)、準備が十分かつまたは適切でなければいけない旨(通常生じる出来事に堪えうる梱包または準備)を説明しています。
また、この免責の適用は、梱包、準備が被保険者または使用人により、危険開始前に行われた場合に限り適用される規定となり、免責条件が緩和されました。ICC(1982)約款では、被保険者の管理が及ばない場合であっても免責の対象となっていました。

※4.6(船社倒産)
ICC(1982)約款では免責と規定されていましたが、2009年約款では、船社の倒産情報を「被保険者が知っていたか、または通常の業務において知っているべきであった場合」にのみ免責となりました。
また、「善意の第三者としての保険契約の譲受人」が保険金請求をする場合には、この免責条項は適用されない旨が明記されました。

※4.7(原子核分裂・融合、放射能・放射性物質を使用する兵器)
「directly or indirectly caused by or」および「or device」を追記し免責範囲が拡大されましたが、日本の各保険会社はInstitute Radioactive Contamination, Chemical Biological, Bio-Chemical and Electromagnetic Wepons Exclusion Clauseを付帯して引受をしていますので、同種の危険は従来より免責でした。




INSTITUTE CARGO CLAUSES (B)および(C)

4.7 deliberate damage to or deliberate destruction of the subject-matter insured or any part thereof by the wrongful act of any person or persons

4.8 loss damage or expense directly or indirectly caused by or arising from the use of any weapon or device employing atomic or nuclear fission and/or fusion or other like reaction or radioactive force or matter.


【要 旨】
4.7 一切の人または人々の不法な行為による保険の目的物の全部または一部の故意の損傷または故意の破壊


【注 釈】
ICC(B)および(C)は、共通の約款となります。ICC(A)との比較では、4条7項の規定が追加されています。これは、放火や故意の沈没等が免責となります。ICC(B)及び(C)約款にて担保する場合は、別途にInstitute Malicious Damage Clauseを追加担保する必要があります。




<Side Heading Deleted>

5. 5.1 In no case shall this insurance cover loss damage or expense arising from
5.1.1 unseaworthiness of vessel or craft or unfitness of vessel or craft for the safe carriage of the subject-matter insured, where the Assured are privy to such unseaworthiness or unfitness, at the time the subject-matter insured is loaded therein.
5.1.2 unfitness of container or conveyance for the safe carriage of the subject-matter insured, where loading therein or thereon is carried out prior to attachment of this insurance or by the Assured or their employees and they are privy to such unfitness at the time of loading.

5.2 Exclusion 5.1.1 above shall not apply where the contract of insurance has been assigned to the party claiming hereunder who has bought or agreed to buy the subject-matter insured in good faith under a binding contract.


5.
3 The Insurers waive any breach of the implied warranties of seaworthiness of the ship and fitness of the ship to carry the subject-matter insured to destination.


【要 旨】
第5条
5.1 この保険は、いかなる場合においても下記の理由から生じる滅失、損傷または費用に対して保険金を支払いません。
5.1.1 船舶もしくは艀の不堪航、または船舶もしくは艀が被保険貨物の安全な運送に適さないこと。ただし、被保険者が、被保険貨物がこれらの輸送用具に積込まれる時に、その不堪航または安全な運送に適さないことを知っている場合に限る。
5.1.2 コンテナまたは輸送用具が被保険貨物の安全な運送に適さないこと。ただし、これらの輸送用具への積込みが、この保険の危険開始前に行われる場合、または被保険者もしくはその使用人によって行われ、かつ、これらの者が積込みの時に運送に適さないことを知っている場合に限る。

5.2 上記第5条1項1号の免責規定は、ある拘束力のある契約に従って、善意で被保険貨物を購入した者または購入することに同意した者にこの保険契約が譲渡され、その者が本保険により保険金を請求する場合には適用されない。

5.3 保険者は、船舶の堪航性および船舶が被保険貨物の仕向地までの運送に適することについての黙示補償の違反があっても、これを問わない。

【注 釈】
堪航・適合についての条項です。保険契約を締結する前提として「Warranty(担保)」があり、被保険者として特定の条件に従う事を確約しています。また、「Warranty」には保険証券に明示される明示担保と法によって推定される黙示担保があります。英国海上保険法では、この堪航担保について黙示担保(契約書に明記されていなくても大前提)この担保違反の場合は、保険者はその日から危険負担を解除され無責となり、その結果生じた一切の損害が免責となります。但し、限定的に被保険者等がその事実を知っている場合以外には、適用されない旨を規定しています。




INSTITUTE CARGO CLAUSES (A)

6. In no case shall this insurance cover loss damage or expense caused by

6.1 war civil war revolution rebellion insurrection, or civil strife arising therefrom, or any hostile act by or against a belligerent power

6.2 capture seizure arrest restraint or detainment (piracy excepted), and the consequences thereof or any attempt thereat

6.3 derelict mines torpedoes bombs or other derelict weapons of war.


【要 旨】
第6条 この保険は、いかなる場合においても、下記の理由によって生じる滅失、損傷または費用に対して保険金を支払いません。

6.1 戦争、内乱、革命、謀反、反乱もしくはこれらから生じる国内闘争、または敵対勢力によってもしくは敵対勢力に対して行なわれる一切の敵対的行為

6.2 捕獲、拿捕(だほ)、拘束、抑止または抑留(海賊行為を除く)およびこれらの結果またはこれらの一切の企図

6.3 遺棄された機雷、魚雷、爆弾またはその他の遺棄された兵器


【注 釈】
海賊行為(piracy)については、戦争免責約款から除外されていますので、ICC(A)条件であれば海上危険として補償されます。




INSTITUTE CARGO CLAUSES (B) および(C)

6. In no case shall this insurance cover loss damage or expense caused by

6.1 war civil war revolution rebellion insurrection, or civil strife arising therefrom, or any hostile act by or against a belligerent power

6.2 capture seizure arrest restraint or detainment, and the consequences thereof or any attempt thereat

6.3 derelict mines torpedoes bombs or other derelict weapons of war.


【要 旨】
第6条 この保険は、いかなる場合においても、以下の事由によって生じる滅失、損傷または費用をてん補しない。

6.1 戦争、内乱、革命、謀反、反乱もしくはこれらから生じる国内闘争、または敵対勢力によってもしくは敵対勢力に対して行なわれる一切の敵対的行為

6.2 捕獲、拿捕(だほ)、拘束、抑止または抑留およびこれらの結果またはこれらの一切の企図

6.3 遺棄された機雷、魚雷、爆弾またはその他の遺棄された兵器


【注 釈】
海賊行為(piracy)については、戦争免責約款から除外されていませんので、海上危険として免責となります。
ICC(B)および ICC(C)条件では保険会社と別途約定にて復活担保が可能です。




<Side Heading Deleted>

7. In no case shall this insurance cover loss damage or expense

7.1 caused by strikers, locked-out workmen, or persons taking part in labour disturbances, riots or civil commotions

7.2 resulting from strikes, lock-outs, labour disturbances, riots or civil commotions

7.3 caused by any act of terrorism being an act of any person acting on behalf of, or in connection with, anyorganisation which carries out activities directed towards the overthrowing or influencing, by force or violence, of any government whether or not legally constituted.

7.4
caused by any person acting from a political, ideological or religious motive.


【要 旨】
第7条 この保険は、いかなる場合においても、下記の滅失、損傷または費用に対して保険金を支払いません。

7.1 ストライキに参加する者、職場閉鎖を受けた労働者、または労働争議、騒じょうもしくは暴動に参加している者によって生じるもの

7.2 ストライキ、職場閉鎖、労働争議、騒じょうまたは暴動から生じるもの

7.3 一切のテロ行為、すなわち、合法的にあるいは非合法に設立された一切の政体を、武力または暴力によって転覆させあるいは支配するために仕向けられた活動を実行する組織のために活動し、あるいはその組織と連携して活動する者の行為によって生じるもの

7.4 政治的、思想的、または宗教的動機から活動する一切の者によって生じるもの


【注 釈】
テロ行為の定義を明確化させ、政治的動機のみならず、「ideological( 思想的) 」または「religious(宗教的)」もテロ類似行為として定義されました。海上危険では免責となっていますが、ISC(Institute Strikes Clauses)で補償されます。

Page top